俺の地元の話なんだけどね、
とある公園に幽霊ブランコってのがあるんだ。

いつからそう呼ばれてるのかは分からない。
もう自分が物心ついたときから、
周りの子達や大人がそう呼んでたんだ。幽霊ブランコ...って。

まぁ幽霊ブランコって呼ぶほどだから
そんな気分のいいもんじゃない。

実際にそう呼ばれる理由も俺は友人達に聞いてるから。

もちろん母親も俺が幼いときには
口が酸っぱくなるほどこう言ってた。

「幽霊ブランコにだけは近づいちゃ駄目よ!」

子供ながらに親が真顔で言ってたもんだから今でも覚えてる。

でもその理由ってのがハッキリしてなかったんだ。


そんなことを今年の元旦になって
急に思い出したもんだから
正月に実家に帰って親に聞いてみたんだ。

幽霊ブランコのことを。

よくオカスレとかであるような
濁すような言い方するのかなって思ってたけど、案外あっさり教えてくれたのは意外だった。

その話っていうのが、

昔幽霊ブランコがあった公園はものすごく子ども達が寄ってくるような明るい公園だったらしい。

いつも子ども達の笑い声で賑やかだったとか。

その中でも特に人気の遊具がその幽霊ブランコだった。

いつも子ども達が列をつくるほど
人気だった幽霊ブランコはいつしか
その公園の看板的存在になっていった。

そんなところにある一人の男が公園に訪れたらしい。

容姿は失礼にもホームレスに近いような そんな感じだったらしい。

最初は何をする訳でもなく、はしゃぐ子ども達をじっと見ていたらしいが、

突然立ち上がったかと思うと
懐から包丁を取り出し 次々と子ども達をメッタ刺しにしていったらしい。

もちろん周りにいた親達も止めようとはするが、
包丁を持ってるような男に女性が敵うはずがない。

すぐさま警察を呼び、男は逮捕され
重傷を負った子ども達は救急車で運ばれていったらしい。

残念ながらにも助からない子ども達は沢山いたそうだ。


それからとは言うものの
夜な夜なその公園では子どもの
はしゃぐ声や叫び声が聞こえるようになったらしい。

さすがにこれではいかんということで
市の人間達も坊さんを呼んで
公園を供養してくれと頼んだそうだが、

坊さんいわく あまりにも念が強過ぎるため
自分では手に負えないとのこと。

そんなことをどの坊さんに頼んでも
皆が同じことを言ったらしい。

仕方なしにこんどは公園を更地にすることにした。

滑り台から砂場に登り棒。

それを次々と撤去していくが、
どうしても1つ撤去できないものがあった。


それは例のブランコだった。


なんせそのブランコを撤去しようとすると、
次々と人に不幸が起こる。

ショベルカーやクレーンのドライバーが突然死したりと...。

そんなことでブランコだけは壊せなかった。

だからいつしか街の人達には幽霊ブランコと呼ばれるようになった。


それが親から聞いた話だった。

ちなみに今でもその幽霊ブランコは存在する。

道路の端にひっそりとブランコだけが。

草が腹の位置まで生えきっていて、
サビやホコリで汚れきって雰囲気も気持ち悪い。

だからものすごい奇妙なんだよな。

だから街の人達はそのブランコには
近づなって、口を揃えていうんだよ。


そして何が一番怖いかって言うと、

聞こえるんだよ。


子ども達の泣き声が。